
欧米では、夫婦でナイトクラブに訪れたり、日本の居酒屋のような感覚でクラブ踊り、音楽を楽しむ人々が多い印象があります。これは、日本と他国との文化的な違いを如実に表しており、以下のポイントでその理由を分析してみます。日本でダンスミュージックが流行る日は来るのでしょうか。
日本でダンスミュージックが流行らない理由
- 日本語のリズムと音楽の相性
日本語は英語に比べて、音楽のビートに乗せるのが難しいという特徴があります。例えば、「もしもピアノが弾けたなら」というフレーズを英語で言うと、「If I can play piano」となりますが、英語では単語を滑らかに繋げて歌ったり、強調したい単語を際立たせることができます。これに対し、日本語では50音すべてに抑揚をつける傾向があり、結果として音程とリズムが不揃いになりやすいです。このため、日本語の歌詞がつくと、その音程とリズムが主役になってしまい、ダンスミュージックのビートとスムーズに融合することが難しくなります。 - クラブカルチャーが浸透していない
日本では、踊ることやパーティーを楽しむ習慣があまり浸透していません。そのため、クラブに対するイメージが「ナンパ」や「チャラい」など、あまり好意的ではないことが多いです。このようなネガティブなイメージが、ダンスミュージックの流行を妨げていると言っても過言ではありません。クラブが楽しむ場所として認識されず、むしろ他の目的で利用されることが多いため、音楽を楽しむ文化が根付かないのです。 - EDMの衰退とアンダーグラウンドへのシフト
日本で2010年代に流行したEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)は衰退し、世界的な音楽フェスのTomorrowlandやUltraなども、テクノやトランスといったアンダーグラウンド系の音楽にシフトしています。EDMはポップスの影響を受けているため、日本人にとって聞きやすい傾向がありましたが、その流行は過ぎ去り、現在はテクノなどのアンダーグラウンドミュージックが流行しています。元々レイブカルチャーが根付いていない日本で、チャートの上位にテクノが入ることは想像しにくいです。 - 音楽のガラパゴス化
カラオケ文化が発展している日本では、歌が音楽の中心であり、トラックそのものは重要視されません。このカラオケ文化は、日本独自の音楽スタイルを形成し、他国からの音楽文化の流入を阻害している要因の一つと考えられます。特に、ダンスミュージックのようなトラック主体の音楽は、カラオケ文化の影響であまり認知されず、広がりを見せることが難しい状況です。 - あらゆることに意味を求める
日本人は論理的で、物事に対して常に理由や意味を求める傾向があります。このため、歌詞のない音楽や、始まりから終わりまで平坦に聞こえるメロディラインには興味を持ちにくいのです。特に、ダンスミュージックはその構成が繰り返しに依存するため、意味を見出すことが難しく感じられることがあります。 - 感性的ではない
日本人は、表面的な自己、つまり言葉で表現できることを重視する傾向があります。結果として、言葉では表現しきれない内面的な感情と向き合うことが少なく、無から有を生み出すことに慣れていません。これが、特にトランスやテクノなどのスピリチュアルな要素を含むダンスミュージックの受け入れに影響を及ぼしています。音楽が感情の解放の手段として機能することが少ないため、ダンスミュージックの深い体験が得られにくいのです。
このように日本でダンスミュージックが流行しない理由を簡単に分析してみました。日本の音楽シーンにおいても、海外文化が流入してくる日は来るのでしょうか。日本の歌謡曲やJ-popなどは海外では類似性が見られない唯一無二だと認識しています。そのオリジナリティを大切にしながらも、どのように海外文化と融合して行くのか、それとも唯一無二を継続するのか、今後が楽しみです。
また、日本人のダンスミュージックプロデューサーたちは日本のカルチャーにどのように融合させて行くのでしょうか。今後の展望が楽しみです。